会社のはじまり
富士フィルムメディカルシステム(富士フィルムホールディングスの一員の企業)は現在も日本の医療機器業界で大変有名な企業であり、日本市場においても多大な貢献をしている企業でもあります。
今は、大型医療機器、内視鏡、それに関連するITのソリューションを提供している企業です。
もともとは、フィルム使用のカメラ用のフィルムを販売からスタートした名門企業。
1934年、国産フィルムの販売が開始されています。
また、医療機器用のフィルムは1936年に販売が開始されています。企業の歴史を見ていくとその志をもった人の集まりからうまれている企業だということがわかりますよね。
企業の名前にもある通り、以前は「フィルム」の販売がメインの企業でした。
みなさんのなかにもご存じの方もいると思いますが、1990年代「写ルンです」という当時画期的なポータブルカメラで日本市場を席巻し、CMも有名になりました。
いまでも、もちろん販売していますね!
デジタルカメラ、スマートフォンのカメラにはない風合いの写真を撮ることができますし、簡単に写真が取れて、現像もでき、その過程も面白いと今でも販売は続いています。
医療機器分野について
医療機器業界はというと、やはり、フィルム関連で成長をした企業です。
放射線科のフィルム業界には、2000年あたりではコダック、富士フィルム、コニカ(現:コニカミノルタ)の3大メーカーがありました。
少しだけ、ドイツのAgfa(アグファ)を使用している病院もありました。
2000年あたりから当時医療業界でも情報通信機器の導入が盛んになり、IT化が進み、放射線科のフィルムの画像もデータ化され、一元管理する方向に入りました。
この市場の動向はフィルム業界には震撼させました。
今まで診断するためのフィルムを販売することによって成り立っていた市場です。
それが、すべてデータに置き換えられ、医師の目の前のモニターで映し出されることになり始めたのです。
フィルム業界はかなりのダメージを負うことになりかねない状況に入っていったのです。
この動向はフィルム販売企業の戦略にも影響を与え、かつ、企業の運命を左右するものでもあったのです。
当時、このような激震が走った中、迅速にフィルムのIT化に舵をきった企業があります。
そう、それが富士フィルムメディカルです。
一歩先を見越した戦略的投資判断を実行し、富士フィルムメディカルはそのIT化の波にしっかり対応し、今では、並ぶものがいないくらいの存在になりました。
化粧品分野への進出
また、この迅速さが他分野の製品に表れたことがありました。化粧品です。
投資研究で当時話題になったのですが、その話題の一つに、このフィルム製造のノウハウを活かした化粧品「アスタリフト」があります。
フィルム製造の際の「ナノ化」の技術を化粧品に応用し、肌に浸透させる効率を独自にあげた製品を販売しています。
詳しくは
https://ls-jp.fujifilm.com/astaliftbrand/science/technology-of-beauty/
に公式の説明があるので詳しくみてくださいね!
肝心なのは、企業にあるこの「フィルムの製造のノウハウ」を「化粧品の浸透力」に応用した「人」がいることです。
さらに、そのアイデアに「研究」投資を行い、製品として「実現」させています。
これにより、企業が製品開発において持つ技術やノウハウを柔軟に活用できるプラットフォームを持っていることを投資家にアピールしました。
近年では、大型医療機器のメーカーである東芝メディカルシステムズの売却案件に対して、CANONが名乗りを上げた際にも、カウンターにフジフィルムが名乗りをあげていました。
以前の記事は↓:日本の医療機器の市場と企業を就活にリンクしてみよう!〜検査室・レントゲン〜(4)
https://note.com/willnote_7/n/n95c76d7b6f5f
結果、CANONに買収をされていますが、のちに富士フィルムは念願であったモダリティー(大型医療機器メーカー)の日立メディコ、日立アロカを買収し、病院のIT部門におけるシェアとモダリティーメーカーとしての取り扱い製品の強化をおこない、病院内シェアをあげられる体制になりました。
富士フィルムメディカルの強み
フジフィルムホールディングスが出している2025年3月期連結業績及び事業概要では、ヘルスケアを3事業に分けて説明されています。
この中には大型医療機器や内視鏡事業での堅調な売上が見て取れます。
また、超電導MRIシステム「ECHELON Smart ZeroHelium」の国内販売が好調と記載がありますが、CMでの2025年6月16日現在でテレビで見かけることが多いと思います。
これはかなり画期的な仕組みです
1, 価格が高騰しているMRIの液体ヘリウムの入手を考える必要がなること(購入時にも充填しなければいけないため、装置自体の価格も上がります)
2, 液体ヘリウム自体及び交換充填にかかる支出を抑えること
3, 液体ヘリウムを冷却する設備、運用のための電気代、スペースを抑えられること
等です。
このような支出や利便性を考えて、その点に解決策を「見出す」ことができる企業体であることがわかります。
この点からも研究開発への着目点は興味深く、富士フィルムメディカルの強みであると考えています。
もちろん他の大型医療機器メーカーもこの開発を行っていると思いますが、早期に製品として市場に投入した時点で優位になると思われます。
医療機器を目指す就活生のみなさんもこれから企業に入社して働く際に、このような市場に「インパクトを残せる」会社を選んでいくのも一つの方法かと思います。
みなさんが就活をしている際、このIRで出される資料は貴重な情報源でもあります。
企業がどの方向に舵をきっているか?どのような分野に力を入れたいと考えているか?
その方向性に共感したところをピックアップしてみてはいかがでしょうか?
今回は、ここまでに。